お役立ち情報 感染症対策・トイレの衛生管理・厨房の衛生管理 Useful Article

マイクロファイバーでより衛生的な清掃を

マイクロファイバーとは

マイクロファイバーとは、髪の毛の100分の1ほどの極細のナイロンやポリエステルからできている合成繊維です。一般的な繊維に比べ、マイクロファイバーはその細さが特徴です。

そしてマイクロファイバーの断面は、三角形が集まっているような形になっているのが特徴で、この形が一般的な繊維にはない抜群の吸水力と微細な汚れを掴み取れる理由となります。

さらに、水分が速く乾くこともあり、お掃除後の雑巾にありがちな嫌なニオイも抑え、繊維が細かく柔らかいので、鏡やガラス、金属など傷つきやすい素材で出来ているものをお掃除する時に役立ちます。

< 繊維の太さ比較 >

亜麻とウール・・・・・36dtex

コットン・・・・・・・1.52.5dtex

シルク・・・・・・・・1.2dtex

マイクロファイバー・・10.0001dtex

1dtex(デシテックス)は、10,000mあたりで1gである糸の太さ

マイクロファイバーと一般的な繊維

マイクロファイバーでの清掃の場合、微細なホコリまでも吸収されて繊維の中に残り、洗浄液の膜を残さず、すぐ乾燥します。対して一般的な繊維で清掃した場合、微細なホコリは取り切れず表面に薄く広がってしまい、湿式清掃は洗浄液の膜を残し、バクテリアの成長を刺激させてしまいます。

マイクロファイバーが汚れを引き付ける「乾式」と「半湿式」の原理

乾式 : 汚れとバクテリアは、「静電気」によって繊維に引き付けられます。

半湿式 : 汚れとバクテリアは、「毛細管作用」によって繊維に引き付けられます。

衛生管理で活用されるマイクロファイバー

近年、病院施設等の清掃においてマイクロファイバー繊維で製造されたモップやクロスの清掃道具が用いられています。マイクロファイバーは、清掃作業を効率化し、環境表面を衛生的に保つことに活用されています。CDCガイドラインでは、マイクロファイバーを洗浄剤とともに使用した場合、従来の綿モップよりも優れた細菌除去効果があると示されています。※1

さらに、マイクロファイバーによるシステムでは、病室ごとに新しいマイクロファイバーを使用するため、微生物の病室から病室への移動を抑制できると示されています。※1
参考・引用文献

1 満田年宏 ヴァンメディカル:消毒と滅菌のためのCDCガイドライン2008

マイクロファイバーを洗濯する時の注意点

マイクロファイバーの効果を損なうと言われる“ゼオライト”や“蛍光増白剤”、マイクロファイバーの持ちを悪くする“ブリーチ剤”や“高アルカリ”を含んでいない洗濯洗剤もしくは専用の洗剤で洗濯しましょう。

 

<塩素系漂白剤の影響>
ポリアミド繊維類は、塩素系漂白剤によって酸化してしまいます。その結果、繊維が壊れ、強度が失われる事により、洗濯耐用数が短くなります。

※画像は塩素系漂白剤の影響を受けたマイクロファイバー

 

<ゼオライト(アミノケイ酸塩)の影響>
ゼオライトは衣料用洗剤などに含まれており、アミノケイ酸塩や水軟化剤等と記載されています。ゼオライトは非常に細かな水不溶性粒子でマイクロファイバー繊維の表面に沈着して固まり、毛細管作用を弱らせる可能性があります。さらに、ゼオライト片は清掃時に、硬質面を傷つける可能性があります。

 

<天然石けんの影響>
脂肪酸が原料である石けんは、水の硬度で反応して、カルシウム石けん(石けんカス)を形成します。カルシウム石けんは洗浄力がなく、水に溶けない性質でマイクロファイバー繊維の毛細管作用を邪魔してしまいます。

 

<カチオンの影響>
カチオンとはプラス電荷を持った陽イオンです。衣料用柔軟剤、カチオン系除菌剤、陽イオン界面活性剤と表記されています。マイクロファイバー繊維は清掃効果を強化するために処理をされています。カチオンでマイクロファイバーが親油性の状態となり、毛細管効果や吸水加工を施した繊維の機能を低下させる可能性があります。

 

<pHの影響>
マイクロファイバーの素材に使用されているポリアミドは低いpH4未満の液体に影響を受けます。洗濯洗剤溶液の中がpH10.5までを推奨します。