サプライヤーとバイヤーの垣根を超えたサプライチェーンの協業活動~お客様にとっての安心のブランドに挑み続けた15年余り~<前編>

皆さんもご承知の通り、食品衛生法が15年ぶりに大幅改正され、日本食品衛生は、HACCPの制度化=食の安全の国際標準化に舵を取った。
15年と言えば当社の大口顧客であるコーペラティブチェーン様との安心部会の取り組みは15年を超え、16年目に入る。
ホームページリニューアル記念のブログに相応しいかはさておき、「安心部会」の取り組みを振り返ってみた。

エピソード1 はじまりはトップ会談

今から16 年前、2004 年1 月の賀詞交換会の席のことである。コーペラティブチェーン代表取締役から弊社社長(当時)に相談が持ちかけられた。
「当社は製造工場を持たず、PB 食品は製造委託している。しかしながらPB 食品は自社製品であり、その品質は自社責任と考えている。クレームを極力減らし、良い製品を作り続けていくこと、お客様にとっての安心のブランドを作り続けていくためにお手伝い頂きたい」
しかも「世界最高とは言わないが世界と競争できるレベルにしたい。そのためには、合理的だがきめ細かい配慮に欠けるアメリカ式ではなく、欧州式を熟知している貴社にお願いしたい」という内容である(参考資料1)。
当時、外資SMの日本進出がピークであった事も、世界レベルを目標とする一因であった。

エピソード2 安心部会設立

この取り組みは代表取締役自らのご発想により
「安心部会」と命名された。お客様に安心して手にしていただける信頼のブランド、実に明解であるが、16 年前の私にはその頂上は見えていなかった。

エピソード3 15年先を見据えて

今日では、日本も「食の安全の国際標準化」を目指した取り組みが法制化されるなど、グローバルスタンダードに対する意識は高まりをみせてるが、その当時としては他に類を見ない前衛的なご相談であり、15 年以上の先を見越した経営判断は、お見事というか今さらながら恐れ入る。
このお話が5 年前ならよろこんでお引き受けいたしますといえたかもしれないが、当時としては実に難解な宿題を頂戴した。

エピソード4 欧州式・GFSI

その当時の弊社は、確かに欧州を軸足として世界各国に活動拠点を持つ、いわゆるグローバル企業(ディバーシーグループ)であり、グローバルに展開される食品メーカーの皆様やフードサービスチェーン、リテールチェーン、ホテルチェーンの皆様と、食の安全や衛生管理、品質向上に携わらせて頂いていた。
また2000 年には、GFSI(グローバルフードセーフティイニシアティブ) の発足に深く関わり、同時にパートナー企業として、テクニカルワーキンググループ(TWG)や世界食品安全会議などへも積極的に参画しており、GFSI の存在意義である「食の安全のグローバルスタンダード」の探究、定義化、明文化やそのベンチマーク活動、そして啓蒙活動に注力していた。

エピソード5 中食市場の拡大

またそのころ、日本では中食市場が急速に拡大していて、それに伴う衛生管理の重要性が見直されるようになっていた。
特にコンビニエンスストア(CVS)で販売されるおにぎりやお弁当、惣菜を製造する食品工場、いわゆるベンダー工場(CVS にとってのサプライヤー)の皆様から衛生管理のサポートを受託する機会が、ありがたいことに急増していた。
それというのも、大手CVS の皆様が微生物の増殖を押さえる食品添加物の使用を控える施策に足並みを揃えられていたからで、ベンダー各社はサニテーション強化などの二次汚染対策強化や一般的衛生管理(PP)の取り組み強化を余儀なくされた。
弊社は現状調査や改善提案、従業員教育や改善進捗の確認などに奔走した。
1 日当たり1 工場で何万食も製造していたのだから、それをまとめて何百何千万食も販売しているCVS の食品で何か起こったら、そう思うと少しの課題も見逃すことは許されない。
挙げた課題の改善方法を提案し、標準化や文書化、定着のための最適な教え方とは何かについて現場目線で考える。自ずと力が入った。

エピソード6 安心部会の受託

欧州式に造詣が深いこと、CVS ベンダー各社を含むサニテーション強化提案の実績を評価していただいたことなどが、「PB 食品の安心・安全と品質強化」という、とてつもなく大きな課題に挑まれるパートナーとしてお選びいただいた理由であろう。
それをうかがった西川社長は「ありがとうございます。もちろんお引き受けいたします」と上機嫌でこの宿題を持ち帰ってこられ「できるね。頼むよ」というわけである(参考資料2、3)。